Core Web Vitals の指標 FID とは?概要から改善方法まで解説

2023年9月7日 カテゴリ - サイトスピード

First Input Delay(以下、FID )は、Core Web Vitals の指標のひとつです。
ユーザーがページ上で初めてアクションを行ったときに、ブラウザが応答するまでにかかる時間を計測します。

例えば、ページ上部にあるボタンをクリックしたのに、ページの切り替えに時間がかかることがあります。
このようなユーザーの最初の入力に対して、応答に時間がかかるとサイト全体に悪印象を与えてしまいます。

そのため、デジタルマーケティングにおいて FID の改善は非常に重要です。

この記事では、FID の概要から改善方法まで解説します。

FID とは

この章では、FID の概要と重要性について解説します。

FID の概要

FID は前述した通り、ユーザーがページ上で初めてアクションを行ったときに、ブラウザが応答するまでにかかる時間です。

典型的な Web ページの読み込みについて、画像を用いて解説します。

Webページの読み込みの流れ

まずはじめに、Web ページを開く際にブラウザがネットワークリクエストを行います。 
ネットワークリクエスト中には、JavaScript のリソースのダウンロードなどを行います。
そして、メインスレッドではタスク(ダウンロードしたリソースの処理など)が実行されます。

ここで、上記画像のメインスレッドの3番目のタスクで Web ページの一部が表示され、次のタスク中にユーザーがサイトのボタンをクリックしたとします。

FIDが計測される仕組み

ユーザーがアクションを行った時に他のタスクを実行している場合、そのタスクが終わるまでユーザーの入力に応答することができません。

この応答ができるようになるまでの待機時間が FID となります。

FID の重要性

FID は、Google が定める Web 上でのユーザーエクスペリエンス(UX)の質を評価する指標である Core Web Vitals のひとつです。
FID の評価は、Web サイト上での体験だけでなく、SEO 施策にも影響します。

Core Web Vitals は Web サイトがユーザーにとってどれだけ使いやすいかを評価する指標です。
Google は検索順位のアルゴリズムに Core Web Vitals の指標を取り入れています。
そのため、Core Web Vitals の指標は SEO 施策に重要です。

Core Web Vitals には、FID 以外にも2つの指標があります。

Largest Contentful Paint(LCP)

LCP とは、ページ内の最もファイル容量の大きい画像や動画が表示されるまでの時間のことです。
LCP のスコアは秒数で表され、LCP が2.5秒以下であれば、良好とされています。

LCP について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
【参考】Core Web Vitals の指標 LCP とは?概要から改善方法まで解説

Cumulative Layout Shift(CLS)

CLS は、ページの読み込みに応じて発生するレイアウトのズレです。
CLS のスコアは「影響を受けた面積の割合×移動した距離の割合」で表されます。
CLS のスコアが0.1以下であれば、良好とされています。

CLS について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
【参考】Core Web Vitals の指標 CLS とは?概要と改善方法を解説

Google は FID に変わって Core Web Vitals に INP を採用すると発表

2023年5月、Google は FID について以下の発表を行いました。

Core Web Vitals の指標のひとつである First Input Delay(FID) も応答性を測定する指標ですが、既知の制約があります。そこで Chrome チームは、この制約に効果的に対処する試験運用版(当時)の指標についてのフィードバックを募集することにしました。 そして 2022 年、チームは新しい指標として Interaction to Next Paint(INP) を発表し、コミュニティとともにその効果のテストを開始しました。

その後 1 年間のテストとコミュニティからのフィードバックの収集ののち、Chrome チームは、2024 年 3 月より FID に代わる Core Web Vitals の新しい応答性の指標として、INP を採用することを決定しました。

INP を Core Web Vitals に導入 | Google 検索セントラル ブログ | Google for Developers
https://developers.google.com/search/blog/2023/05/introducing-inp?hl=ja

INP とは、インタラクション(ユーザーが行ったアクションに対するブラウザの応答)時間の内、最も時間がかかったものです。
FID は最初のインタラクションしか計測できないため、他のインタラクションが長かった場合 FID のスコアとユーザー体験の質に乖離が生まれます。
そのため、Google は FID をすべてのインタラクションを評価する INP に置き換えることにしました。

FID を測定できるツール

Google は FID の測定ツールを提供しており、代表的なツールとして、以下の3つがあげられます。

・Google Search Console
・PageSpeed Insights
・Web Vitals

Google Search Console

Google Search Console は、Goolge 検索での Web サイトの掲載順位やパフォーマンスを管理できるツールです。

FID を確認するには、「ウェブに関する主な指標」を選択し「レポートを開く」をクリックします。

Google Search ConsoleでFIDを確認する方法ステップ1

FID の問題がある場合は、ここに表示されます。

Google Search ConsoleでFIDを確認する方法ステップ2

PageSpeed Insights

PageSpeed InsightsのFID確認方法

PageSpeed Insights は、Web サイトのページの表示速度の測定や改善点を把握できるツールです。

FID は PageSpeed insights のレポートの、「実際のユーザー環境で評価する」で確認できます。

FID のスコアはミリ秒で表示され、100ミリ秒以下であれば良好、300ミリより長いと不良とされています。

FIDのスコアの評価

Web Vitals

Web VitalsのFID確認方法

Web Vitals は Google Chrome の拡張機能です。

計測対象の Web サイトから拡張機能を使用することで、FID のスコアを確認することができます。

FID の改善方法

この章では、FID の改善方法について解説します。
FID の改善方法は、主に以下の4つがあります。

・外部との連携ツールを減らす
・JavaScript を最適化する
・メインスレッドの作業を抑える
・ネットワークリクエスト数と転送データ量を減らす

外部との連携ツールを減らす

アクセス解析のために Google アナリティクスを利用したり、SNS のシェアボタンをサイト内に配置するためには、HTML 内にタグを埋め込む必要があります。

しかし、これらのタグは Web サイトの読み込み中に別のサーバーからリソースをダウンロードします。
これによって、ページの読み込み時のタスクが増えるため、FID の増加につながります。

不要な外部との連携ツールを減らすことで、FID を改善できます。

JavaScript を最適化する

ページに多くの JavaScript が含まれている場合、プログラム の実行に時間がかかります。
タスク1つあたりの時間が長くなるため、FID の増加につながります。
そのため、JavaScript を最適化することで FID を改善することができます。

ソースコードの知識がなく、調整が難しい場合は専用のツールを使うことで簡単に最適化できます。
また、 WordPress を利用している方はプラグインを利用することで JavaScript を圧縮することができます。

ただし、ソースコードの最適化をした結果正しく動作しなくなる可能性があるので、圧縮する場合は不具合が生じていないか確認する必要があります。

メインスレッドの作業を抑える

スレッドとは、プログラムの処理が行われる場所で、メインスレッドはその中でも画面の表示や画像の読み込みなど重要な作業を処理します。

インタラクションもメインスレッドで行われるため、メインスレッドで実行する必要のない作業を他のスレッドに分散させることで、インタラクションをスムーズに行うことができます。

例えば、メインスレッドとは別のスレッドで JavaScript を実行できる「 Web Worker 」を活用することでメインスレッドの作業を抑えることができ、FID の改善ができます。

ネットワークリクエスト数と転送データ量を減らす

ネットワークリクエストとは、ブラウザが Web サイトを表示するために必要な情報をサーバーから取得するために送信を要求することです。

ネットワークリクエストの概念図

ネットワークリクエスト数や転送データの量が多いと データのダウンロードや実行などのタスクが増えるため、FCP も増加します。
そのため、画像や HTML のファイルを軽量化する必要があります。

一般的に画像ファイルは HTML のファイルよりもサイズが大きい傾向にあります。
そのため、画像の軽量化は FID の改善に役立ちます。

画像の軽量化について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
【参考】サイトの表示速度の改善に影響を与える画像軽量化

まとめ

本記事では、Core Web Vitals の指標のひとつである FID について解説しました。

FID はユーザーがページ上で初めてアクションを行ったときに、ブラウザが応答するまでにかかる時間です。

Web 上でも人間関係と同様に第一印象が重要です。
FID は、サイトの応答性に関するユーザーの第一印象を測定するのに役立ちます。

最初のユーザーのアクションに対する応答時間が長いと、サイト全体に悪印象を与えてしまいます。
その結果、ユーザーは情報を手に入れる前に離脱してしまいます。

FID を改善して Web サイトの直帰率の改善や SEO に繋げましょう。

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